園芸ルポ・「半分以上は捨てていた?ストック栽培事情」
こんにちは、「鉢花のお店 オーク・リーフ」店長・藤田です。母の日商戦も終わりひと段落、やんわりした脱力感に包まれた今日この頃、久しぶりに重いペンタブ(私はマウスの代わりにペンタブレットを使ってます)をとりました、ブログ再開です。今回のテーマはストック栽培に付き物の「八重鑑別」、つまり八重と一重をより分ける作業についてのお話です。「八重と一重の区別なんて子供でも出来るじゃないか」なんて言わないで、まあ読んでみてください。
選ばれた者のみが店頭に並ぶストックの厳しい世界
切り花や鉢植え、花壇苗としてお花屋さんの店頭を飾るお馴染みのストックですが、彼らには生まれて間もなく「選別・鑑別」という厳しい現実がまっているのです。
なぜなら、ストックの種を普通に播いて育てると八重と一重が半分づつ育つのです。一重は商品価値が無いとされ市場に出回ることがありません。八重に比べ花が地味ですし、なんと云っても花の寿命が短いからです。そして生産者にとって厄介なのは、八重か一重か花が咲くまでほとんど区別がつかないという点にあります。誰だって開花まで育てた末に半分捨てるなんて無駄はしたくありませんもの。そこで生産者は芽生えて間もない双葉の時期に「八重鑑別」と云う作業を行うのです。
ビミョーな違いを見逃すな!
この双葉(子葉とも言います)に現れる、八重と一重のわずかな違いを見分けるのです。「半分は一重だ」と言う真実を頼りに、それらしきものを切り取って行くのです。そうは云っても半分取り除いて100%八重だけを残せるものならそんなに難しいことはないのですが・・・。その違いが微妙なため、残された苗の八重率がベテランでも80%台止まりと頼りなく、また厄介な鑑別作業なのです。
▲八重のストック
▲一重のストック
決め手は「色、形、丈」!
なんだけど・・・
ネットで見つけた下の写真をご覧ください、八重と一重の違いを比較した写真ですがその差が微妙なのでよく分かりません。実際には肉眼を凝らし、射し込む光を調節して周囲の葉と比較しながら、自分を信じてそれらしきものを切り取って行きます。
見分けポイント | 八重 | 一重 |
---|---|---|
子葉の色 | 緑が明るい | 緑が濃い |
子葉の形 | 大きくやや長め | 小さく丸い |
茎の丈 | 長め | 短め |
以上のポイントを頼りに取り除いて行くのですが、当店ではおよそ半分残して鑑別を終わりにします。1割以上の一重が混ざることになりますが、安くてもそこそこ売れるようならば一重をまとめてポット苗で出荷してしまいます。
普段何気なく見ているストックですが、育てる側・育てられる側双方に人知れぬ苦労のあることがお分かりいただけたでしょうか。
この次どこかでストックを見かけたときに、彼らにもこんな小さなドラマのあった事を思い出していただけたら幸いです。
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